古い友人から来たメールは
「フットサルをやらないか?」

プーをはじめてから1年経つが、
勉強にかこつけて運動からは身を遠ざけていた。
おかけで体の調子がよかったときに比べて
7キロ増えてしまい、体重は70キロを行ったり着たり。
昔は
「いくら食っても俺は太ったりしない体質」
と豪語していたが、
それはそれなりに体を動かしていた結果だと分かった。
今となっては、不名誉なチャンピオンベルトを授かってしまった。

久しぶりに友人に会うことにもなったのだが、
待ち合わせ時間の5分前になっても誰も来ない。
少々苛立つのは以前の職業病のためか。
待ち合わせの時間になってやっとひとり来た。
待ち合わせから15分後に10人全員がそろう。

一番びっくりしたのは、
5,6年来に会った友人の風体が全く変わっていなかったことだ。
それから比べると一番変わったのは俺だろう。
髭も生やしてるし、昔の逆三角形の上半身はドラえもんの体系に
近づきつつあるし。

何はともあれ、久しぶりにしたフットサルはいきなりの公式戦。
こっちは即席のおっさんチーム。7分ハーフの試合でも
残り3分間は足が全然動かないし、結果は12チーム中
11、12番となってしまった。

汗をかく前に息切れしてしまうような情けない状態だったが、
ここ1年間で感じられなかったさわやかな気持ちになった。
一人で家に篭って本を読んで勉強することから、
他力本願ながらも、一歩踏み出したことで
うやむやになっていたことがスカーッと晴れ渡る気がした。

試合の始まりと終わりに
「お願いします」「ありがとうございました」
といったり、交代するときに
「お疲れさん」と飾り気なく言うことが
どれだけ自分に充実感を与えてくれるものかと。
中学のとき部活でサッカーをやっていたときは、
試合は勝つためにやっているんだからと意気を巻いて
社交辞令のように口走っていたときとは大きく違う。
みんな社会に出て多かれ少なかれ丸くなったことで、
こうしてスポーツをすることで自然と口に出ているのかなと。

終わって近くのファミレスで夕食をしながら談笑した。
昔話や嫁さんや子供の話に花を咲かせることが多かったが、
それぞれの職業のことや、政治、経済、地方財政、偽装問題、
生の内部告発の体験談や、果てには国防にまでいたり、
昔エロ本の貸し借りに一生懸命だった頃から考えると
まったく想像も出来なかったことだ。
「まだ政治家になるのをあきらめてはないんよね」
と言った県庁で勤務している友人に
「そんときは応援するけん、ちゃんと声かけよ」
と素直に言った。

退職前に貰っていた給料の価値が俺個人への評価だと
変なこだわりがあったのが事実だ。
職を失ってなお、お金を心配せずに生活できたことが
どれだけ幸せだったことかと、日々悩むことが続いたが、
ボールをけって、汗を流して、点が入って喜んだり、
パスが外れて笑ってごまかしている中で、
「そんなこと、あー、ちっぽけな話だ」
と前向きに考えられた。
次にやりたいことのために、今何が出来るのかと
他人に教えられずに自分で考えることが、
どんなに暴挙であっても、そこに楽しみが見出せるのを
実は僕が望んでいたことだったのかもしれない。

というわけで筋肉痛が程よく気持ちいいのは、
僕が単なるマゾヒストではないということなのだろう。

コメント