金で買えないものがある。
と言う言葉は、Nicolas、自分の気分次第で良いようにも悪いようにも取ってしまう。
実際そうであると思うし、間違ってないと思う。

地獄の沙汰も金次第。
と言う言葉も、Nicolas、自分の気分次第で良いようにも悪いようにも取ってしまう。
実際そうであると思うし、間違ってないと思う。

Nicolasが小さい頃思っていたことを書かせてもらう。
以下の内容は、親を敬うからこその文章だ。

Nicolasの家庭は、決して裕福ではなかった。
借金があったわけではないし、
ひもじい思いをしたわけでもないし、
親がNicolasを学校に通わせることも出来なかったわけでもない。
しかし、Nicolasの家庭は裕福ではなかった。

子供にでも分かる。
自分の家庭がどういうものなのか。
ニュースで政治の話を理解することができなくても、
自分の家庭と他の家庭を比較することはできる。

Nicolasの両親は、兄貴とNicolasを育てるため、一生懸命働いた。
Nicolasの父親は、一日おきで夜勤のある仕事に出て、
Nicolasの母親は、バスガイドの仕事で、ひどいときには、月に半分も家にいなかったことさえある。
少し丘の上に建てられた小さな家の影から、
「お仕事に行くね。」と小さな車を転がして、
田舎道を下って、仕事場のある町まで出て行った母親を
目に涙を浮かべて、見送った記憶がある。

参観日や遠足で、親が一緒に来る行事があった。
来て欲しかった母親は、そういうときに限って仕事が入る。
決して避けていたのではないのは分かっている。
それでも、お母さんが作ってくれたいつもより贅沢なお弁当は、
担任の教師の横で食べても美味しくなかった。

それに逃げるかのように、
暇な時間は、家の外に出るか、勉強をするか、
何かに集中して、嫌なことを忘れる術を
知らず知らずのうちに身につけたような気がする。
高校に入ってからは、定期試験の結果、
上位10番から外れることがなくなってしまった。
足りないものを埋めるため、何かで自分を確保するため、
自然と人格を形成してきたような気がする。

今、Nicolasは25歳。
仕事も希望通りに行って、アメリカで勉強する機会を与えられた。
それは全て皮肉にも、幼少の頃、親への不満を打ち払うための
逃げるためだった勉強と言う手段がもたらした結果だ。
Nicolasの親は、そういうNicolasを誇りに思っていてくれている。

お金を貯めて、両親をこちらで8月に行われる予定の卒業式に招待した。
家族で一緒に旅行をしたなどという記憶はない。
Nicolasはそういうことで、両親は必ず喜んでくれると思っていた。

だが、喜んでいた両親の答えは、仕事の都合でいけないと謝罪入りの返事だった。

なぜか冷静にメールを読んだ自分。
自分の背中を後ろで見ている自分がいるような気がした。
Nicolasはもうすでに知っているからだ。

「あの時にお金さえあったら、、、」
今、あれから少し大人になったNicolasが、
Nicolasの家族のことにおいて、決して理由にしたくない事実。
もう脳裏に焼きついている。
「今お金があっても仕方ない。」

小さかった頃のNicolasが二十歳を越えたNicolasの経験を
利用して語りかける。
「お金で幸せを買えなくても、お金で幸せは膨らむでしょう?」
何も言い返せない25歳のNicolas。
Nicolasはもうすでに知っていたからだ。

今が幸せじゃないといっているわけじゃない。
今の自分の仕事に遣り甲斐を感じているし、
両親がそれを自慢したくなるほど、誇りに思っていてくれていることも光栄に思う。
ただ、
小さかった頃のNicolasはそんなことは理解できない。

それでもNicolasは親が小さいときに
Nicolasをとても愛してくれたことを知っている。
古いタンスの中に閉まってあるボロボロのアルバム。
そこには数え切れないほどの幼少の頃のNicolasが写った
カラー写真があった。写真の中のどの小さかったNicolasも
カメラのシャッターを切っていた両親を
屈託のない笑顔でレンズ越しに見ている。

その事実があったことが、
今まで卑屈に物事を受け止めてきた小さかったNicolasを
何の飾り気もなく、ただ、なだめてくれる。

 
人から間違っていると言われても、そんなことは子供にはわからない。
単純に、自分のいいように解釈するのではなく、
感じたままで判断する子供には、その子供の答えがある。
彼の中で、それが正しい答えで、それ以外はない。

でもNicolasは自信を持って二つ言える。
Nicolasの両親は、最も尊敬できる両親。
そして将来Nicolasに子供ができたとき、決して同じ思いをさせない。

この二つこそが今Nicolasが考えられる親孝行だ。

(夜中に書きました。恥ずかしくなっていずれ消すでしょう。 2点。)
通算18日目

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